事務所名 東京GODO会計 税理士 多勢 陽一 |
所長名 多勢 陽一 |
所在地 東京都江東区亀戸 6-2-3田辺ビル6F |
電話番号 フリーダイヤル 0120-77-2514 |
FAX番号 03-3684-2740 |
Eメール tase-yoichi@tkcnf.or.jp |
業務内容 ・パソコン会計による月次決算支援業務 ・独立、開業支援業務 ・経営相談に関する業務 |
東京税理士会 江東東支部所属 |
資本主義経済の発展に株式会社の存在は欠かせない。大きなビジネスを成功させ継続させるためには、より多くのお金(資本金)を集め、そのお金を有効にビジネスに生かせる人に経営を託す、所有(財産権)と経営(経営権)の分離が図られる。株主総会は、株主は経営を委託する、経営者は株主から信任を得るための重要な意思決定の場となる。上場企業の株式は、会社の業績など複合的な要因で株価が変動し、日常的に株式の売買が行われ株主も変動していく。
中小企業の場合、経営者が株式の大半を所有しているため、経営の委託も株主からの信任も自己完結してしまい、財産権=経営権となっているケースがほとんど。確かに、株価は安かろうと高かろうと普段は気に留めることなく、日々の経営に勤しんでいる。
中小企業の財産権と経営権がクローズアップされるのは、相続の時など場面が限られている。中小企業の株式も財産権として価値を計算して、相続財産の一部を構成し相続税の課税対象となる。
普段は気にも留めない我が社の株価なのだが、会社の財務内容を良くしようと法人税を払いながら利益を蓄積すればするほど株価が上がり、結果、相続税負担が増えてしまう、中小企業の株って???の思いを強くする。だが、高い株価は安定的に会社を経営できる資産を保有している証でもある。
事業承継の一環として株式の贈与を考える場合、相続対策だけに念頭に持ち株の移転をしてしまうと、会社の支配権を巡って思わぬトラブルも招きかねず、経営権の確認も忘れずに。
儲けるために誕生した会社だが、利益が出る売上と結びつく活動が無ければ、ただの金喰い虫という存在でしかない。何もしなければ人件費を含めた固定費(お金)は出て行ってしまう。会社は限界利益で生きているといっても過言ではない。
物やサービスに付加価値を加える作業をおこなうことで限界利益(粗利益)が生まれ、その限界利益で固定費を賄い、固定費以上の限界利益を稼ぎ出して利益が生む。資本主義が投下資本の回収と言われる所以である。
この資本主義経済の原型が生まれたのは大航海時代。モノが希少だったため、アジアから香辛料や生糸を、アメリカ大陸から銀や銅の貴金属をヨーロッパ大陸に持ち込むだけでも付加価値が生まれ、莫大な富を手に入れることができた。これらの豊富な資金を背景に産業が高度化し、工業製品が大量に生産され、更に付加価値が生まれ、貿易が加速し、資本主義経済は発展してきた。
小売業を例にとっても、一つの商品だけの陳列に比べて、数多くの商品を陳列できれば、選択ができるという付加価値が生まれ、訪れる顧客の多さが小売業の生命線となる。街の商店が大手スーパーに負けてしまうのは、この選択という行為に圧倒的な差があるからなのか。
わが社の付加価値は何だろうか。会社の全員が真剣に考えて、より高い付加価値を顧客に提供できれば限界利益は生まれてくる。考える全員が固定費そのものであるのだから。
現在、インボイス事業者は帳簿への記載とインボイス保存という二重の事務負担が義務付けられているが、そこには消費税の頓挫の歴史と大蔵省の思惑が…。
消費税は平成元年から3%の税率でスタートしたが、そこから遡ること10年前、昭和54年、当時の大平内閣は、所得税など直接税中心だった日本の税制では歳入に限界があるとし、間接税主体に改めるべく「一般消費税」を提唱したが、衆議院選挙で大敗の憂き目に遭う。
続いて昭和61年、中曽根内閣は「縦横十文字に投網をかけるような大型間接税はいたしません」と国会答弁し、衆参同日選挙で圧勝した直後に「売上税」導入を打ち出したが、公約違反と猛反発を浴び廃案に。この「売上税」の中身は、中小企業や低所得者層に配慮した特例や消費税を免れる例外を設けたものの、本質は大蔵省が執着するインボイスによる前段階控除方式による付加価値税だった。
昭和63年、竹下内閣は「売上税」から「消費税」に看板を書き換え、事務負担の多いインボイス方式ではなく、会計帳簿への記載だけで仕入税額控除ができる帳簿方式を採用した。税率3%、簡易課税制度、限界控除制度などを設け中曽根公約に配慮した。
消費税率が5%へ引き上げ時に「請求書等保存方式」が採用され、令和元年10%へ引き上げ時に軽減税率8%を設けられた。複数税率による消費税額を明確にする理由でインボイス制度導入となり、財務省(大蔵省)の思惑どおりに。
資本金1億円以下の中小企業の場合、年間800万円以内であれば支出した交際費に法人税は課税されず、全額が経費扱いとなる。
それでも税務調査の場面では、交際費は重要な調査項目として交際費支出の内容を必ず確認されることになる。それは、交際費の支出内容をみればその会社の経営姿勢がある程度判るからに他ならない。
内部牽制が取れていない会社では、経営者の私的な経費が会社の経費に紛れ込むケースが多く見受けられる。「寝ても覚めても会社のことを考えて仕事をしているのに、給与は変わらずボーナスすらないのだから、気晴らしの飲食ぐらい大目に見てよ」と本音を漏らしたくもなるのだが…。
税務調査において調査官が交際費を確認して、この会社ルーズな所があると踏んだ場合、法人と個人の取引に関わる部分を徹底して確認されることになる。交際費の内容に加え、旅費交通費にプライベートな旅行費用が含まれていないか、通信費に個人利用の携帯電話費用が含まれていないか、厚生費にプライベートな支出が含まれていないか、などなど。
この税務調査で経営者のプライベートな費用が会社の経費に紛れ込んでいたと認定された場合、本人の役員賞与とみなされ、不定期な給与として損金不算入となり経費性が否認される。加えて賞与としての源泉所得税も計算されるので、法人税+源泉所得税+加算税・延滞税のトリプル納税を覚悟しなければならない。
法人税で交際費課税が始まったのは70年前の昭和29年、資本蓄積の促進や冗費・濫費の抑制を目的として導入された。当初は今とは真逆で、資本金1000万円以下の法人に対して交際費600万円以下の部分について90%が損金不算入とされた。一方、資本金1000万円超の法人には交際費課税の適用はなく、全ての交際費が損金算入と大企業優遇。仕事を取り増やすには交際費支出が不可欠だった取引弱者である中小・零細企業にとっては酷な税制だった。
その後、バブルに至る好景気が進む昭和57年の税制改正で交際費は全額課税を原則とし、資本金5000万円以下の法人については定額基準の範囲内の交際費は損金算入が認められ、大企業と中小企業の交際費課税は逆転した。
平成に入り資本金1億円以下の法人に対する交際費課税の定額控除額は400万円から600万円に引き上げられ、現在は年額800万円までは課税されない一方、資本金1億円超の法人への交際費の全額課税は維持されている。
平成18年4月から、全法人でその飲食等があった年月日、参加した者の氏名や人数を記載した書類を保存することを条件として飲食費1人あたり5,000円以下の支出が交際費の範囲から除外されることになった。令和6年4月からは支出額が10,000円以下に緩和された。
この緩和、交際費で年間800万円など使い切れない中小企業にとって影響はないが、飲み放題9,800円のセットメニューが低迷する飲食店の救世主になってほしい。
今年は「定額減税」「賃上げ優遇税制の繰越控除」に加え、「残業時間計算」に多くの時間を割くことになり、給与計算事務が大変になる、受難(>_<)の年。給与計算のシステム化することで受難(>_<)から(*^^)vに。
第一の受難 「定額減税」 一人あたり所得税3万円を6月以降、支払う給与の源泉所得税から順次、相殺して減税する仕組みになっており、12月までの給与までに相殺できなかった額は年末調整で還付する仕組み。令和6年分として発行する源泉徴収票の摘要欄には定額減税控除額を明記することになっている。給与受給者の各人の定額減税額も異なるので、誰にどこまで定額減税を実施したかを記録していかなければならない(>_<)
第二の受難 「残業計算」 3月末でドライバー・建設・医業従事者の残業の上限規制の猶予が終了し全産業で残業の上限規制が適用になる。所定労働時間を1分でも超過して労働した場合には残業手当の支給する、が社会の流れとなる。より多くの時間を給与計算事務に割くことに(>_<)
第三の受難 「賃上げ優遇税制の繰越控除」 賃上げの実施した中小企業へのインセンティブとして全雇用者の給与支給額を前年比+1.5%以上増加させた場合、増加額の15%から45%の税額控除を認め(控除上限は法人税額の20%)、赤字の場合には5年間繰越ができるようになった。赤字の場合でも事業年度ごとの対象従業員の支給額をデータベース化しておく必要に迫られる(>_<)
今年の税制改正の目玉は、何といっても6月から始まる定額減税。
自民党の税制改正大綱案によれば、「経済はデフレ脱却の千載一遇のチャンスにあり、デフレに後戻りさせないための措置の一環として、令和6年の所得税・個人住民税の定額減税を実施し、賃金上昇と相まって、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状況を作り、デフレマインドの払拭と好循環の実現につなげていく」として一人あたり所得税3万円、住民税1万円を減税するというもの。
一度、懐に入れた税収を国民に戻したくない財務省官僚が考える、この減税案は頂けない。サラリーマンの場合、毎月差し引かれる源泉所得税を減税額分(家族分を含む)まで差し引かない方法で実施される。例えば、奥さまと子供2人を扶養している月収40万円のサラリーマンの場合、毎月の給与から控除する源泉所得税は7,000円程度。4人分の所得税減税額は12万円となるが、果たして12万円に達するまで何カ月を要するのだろうか。
物価上昇で家計がキツイ分を賃金上昇が追いつくまで所得税減税で補ってください、が今回の定額減税の本旨ならば、現金を振り込み、夏休みにパーと使ってくれるのが一番効果的なはず。しかもマイナンバーカードに登録した金融機関口座に振込む方法をとれば、マイナカードの普及も一気に進む。
チマチマした減税よりも現金一括支給を実施すれば、沈みきっている岸田内閣支持率も上昇に転じるだろうに。
国家を形成し、運営するためには税収は不可欠であり「税は国家なり」と言われる所以でもある。自民党のパーティー券の裏金問題の負い目からか、今回の税制改正はアメばかりが目立ち、痛みを伴う増税の話は先送りされている。2024年度の税制改正案を平たく解説すると、
①一人あたり4万円(所得税3万円、住民税1万円)の定額減税
急激な物価上昇への対策として税収の上振れ分を国民に返還する狙い。ただ、毎月の給与から天引きする源泉所得税・住民税を4万円×人数に達するまで徴収しない方式での実施では、その事務負担に事業主側は頭を悩ましそう。
税収に多大な寄与をしている所得1805万円超の納税者は除外されるが、ここにインセンティブを与えればもっと働いてもっと税金を納めるものを。
②接待交際費に加算しない飲食1人当たり5,000円から10,000万円に拡大
中小企業にとってうれしい話ではあるが、そもそも資本金1億円以下の中小企業は年間800万円までは損金として認められており、交際費を800万円以上使う中小企業はどれほどあるのかしら。
③中小企業が給与支給総額を1.5%以上増やせば、法人税を減税
物価上昇を上回る賃上げを目指して賃上げ税制をさらに拡充する。赤字企業には減税効果がないことから、5年間控除率を繰り越せる措置を追加。この控除率の繰越しの管理は、会計事務所が担うことになりそう。
④価格高騰時にガソリン税を減税する「トリガー条項」の凍結解除見送り
国民民主党から、ガソリン税と消費税の二重課税を問われ、ガソリン価格高騰時にはガソリン税の税率を引き下げるトリガーの凍結解除を求められ、岸田総理もトリガー凍結解除に前向きだったはずが、財務省が一度手にいれた収税権をおいそれと手放すわけもなくあえなく凍結見送り。