事務所名 東京GODO会計 税理士 多勢 陽一 |
所長名 多勢 陽一 |
所在地 東京都江東区亀戸 6-2-3田辺ビル6F |
電話番号 フリーダイヤル 0120-77-2514 |
FAX番号 03-3684-2740 |
Eメール tase-yoichi@tkcnf.or.jp |
業務内容 ・パソコン会計による月次決算支援業務 ・独立、開業支援業務 ・経営相談に関する業務 |
東京税理士会 江東東支部所属 |
「被相続人の財産は法定相続分で分ける」これが令和の時代の常識なのか。確かに民法900条に法定相続分の定めはある。しかし、
902条で「被相続人は法定相続分の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定めることができる。ただし被相続人は遺留分に関する規定に違反することができない」と遺言による相続分の指定を定め、
906条では「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」と遺産分割の基準を定めている。
平たく解説すると、相続財産をどの相続人にどのくらい残したいのか指定したい場合には遺言を書き残しましょう。ただし、遺留分の侵害は無効になります(902条)。遺言がない場合、相続人みんなの様々な事情を考慮して遺産の分割を円満に図りましょう(906条)。借金も相続人みんなで承継することもお忘れなく(899条)。もし、分割協議が整わないときは、その分割を家庭裁判所に頼めます(907条)。その場合、家庭裁判所は、相続人みんなの主張を聞き、特別受益を勘案して、最後は法定相続分で分割する和解を勧めるのが実際です。
法定相続分は、遺言もなく、円満な分割協議ができない場合の遺産分割の最終手段の意味合いが強く、先祖代々からの財産や夫婦で一から築いた財産に対して法定相続分を権利として主張すること自体に無理があるのだが…・。
昭和22年5月2日までの相続では、家督相続により家督(家名・家業・家族・祭具・墳墓)を独り占めしていた戸主(多くは長男)だが、考えてみれば大変。家を統率し、家名に恥じることのない立ち振る舞いをし、大家族を扶養しながら祭祀を主宰した。『家』を末代まで引き継がせる苦心もしなければならない。しかもそんな面倒なことは御免と、逃げ出すことも許されなかった。
戦後、個人の尊重や法の下の平等が重視され、相続制度も家督相続から法定相続に改正された。法定相続は、第一順位は配偶者+子、第二順位は配偶者+父母若しくは祖父母、第三順位は配偶者+兄弟姉妹となり、配偶者の相続分を多くする四度の改正があり、現在に至る。相続財産は法定相続分に分けてみんなで相続することが周知の事実となった。借金(債務)も法定相続分で承継されるのだが、こちらは意外と知られていない。ましてや、戦前の戸主が負っていた家族の扶養義務が、現代民法では「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と規定されていることなど忘れられている気配。
先祖代々の財産や家業が法定相続分で分散してしまう不都合、子のいない夫婦が一から築いた財産を兄弟姉妹に分けなければならない不都合、子供たちが母親の老後の生活を顧みないで法定相続分を主張する不都合、子供たちみんなが均等にと主張する不都合。納税のため先祖代々の財産を売却しなければならない不都合。
源泉所得税や住民税の支払い、消費税や法人税の支払いのために金融機関に出向かずに納税を終えるようダイレクト納付の利用、いわば税のDX(デジタルトランスフォーメーション)の手続きを進めております。
①コロナ禍により銀行窓口での「密」を避けるため、銀行窓口業務が予約制となり不便、
②5・10日や月末のATMは長蛇の列で時間がかかる、
③金融機関の担当者が日々、来訪してくれなくなった、などで納税事務に手間がかかるようになってきている。
ダイレクト納付の手続きが国税、地方税でもできるようになり、税額の確定→電子申告→ダイレクト納付による納付日の申請・登録→期限内の納付日に指定の預金口座から口座振替というワンストップ化が図れる。
2025年まで国内のDXの推進が出来なかった場合、年間で最大12兆円の経済損失が生じるとの試算もあり、国を挙げてDX化を加速される政策も取られよう。従来のビジネス慣習は激変し、影響は中小企業や個人事業主にも及ぶことになる。令和5年10月から始まる消費税のインボイス制度においても、電子インボイス(請求書)の発行が当然のように求められ、その対応に追われることも想定される。
「はんこ・ファクシミリ・電話」がDX加速の障害と言われている。40数年前、瞬時に紙情報が送受信されるファクシミリが登場し、これは便利とビジネスの必需品となったが、そのファクシミリがDXの壁になろうとは隔世の感慨。
10月から改正郵便法が施行され、普通郵便とゆうメールについて「土曜日の配達休止」「配達日数の繰り下げ」「速達料金の1割程度の値下げ」などのサービスの見直しが行われている。ゆうパック、レターパック、速達、書留、簡易書留などは土曜日、日曜日および休日も配達されるので変わりはない。
配達については、おおむね17時までの差し出しで翌日配達となる地域において、従来よりも1日~3日の繰り下げとなる。例えば、「月曜日の差し出しは、水曜日到着」、「木曜日の差し出しは、土・日を挟んで月曜日到着」になる。同様に、翌々日配達の地域でも、従来よりも1日~3日の配達日の繰り下げとなる。
普通郵便で請求書を送っている場合、配達日の繰り下げによる配達遅延を防ぐための請求事務の迅速化が課題となり、取引先によっては先行してFAXや電子メールでの請求書発行も依頼されよう。
請求書の印刷・封入・発送作業の削減や郵便料金の節約などを考えれば、PDFなど電子データによる請求書発行に移行することも検討材料だ。この場合、令和5年10月が始まる消費税インボイス制度に合わせた請求様式で電子データを作成できるように準備を進めたい。
また、令和4年1月から施行される改正電子帳簿保存法では、電子データによる請求書や領収書は電子データのままで保存するすることが義務付けられることになっており、証憑書類の保存にも電子化の波が訪れている。
自衛隊の大手町接種センターにて、モデルナ製ワクチンの2回目の接種を終え、これで新型コロナに感染しても、重症化リスクは軽減されるかな、と安堵している所。大手町の接種会場は、滞りなくワクチン接種のオペレーションが進行されており、「さすが自衛隊!」と感心しつつも、配置されている人員の多さにも驚いて帰ってきた。
職業柄か、「このワクチンの接種コストとして、国はどの程度の支出を見込んでいるだろう?」と、ネット検索をした所、接種費用は事務費を含め、全国統一の単価で1回目、2回目ともに2070円(ワクチン代は国が確保し供給するため、含まれない)、製薬会社は新型コロナワクチンをインフルエンザの予防接種並みの価格で提供、という検索結果にたどり着いた。
2回のワクチン接種で一人当たりコスト10,000円は下回らないことが想定され、対象とされる全国民に接種が完了すれば、国の支出は1兆円超となることは確実、ということになる。国難ともいえる事態に、国は無条件に国民の安全と救済に全力を尽くすことは当然として、ワクチン接種を含むコロナ対策支出はやはり全国民が痛みを分かち合い負担することになる。
すでに英国では、住民や企業にコロナ対策を続けるものの、次の危機に備えるための財政再建を目指すため法人税の増税を決め、米国でもコロナ対策とインフラ整備のための財源確保に向けた法人税増税案を打ち出した。さて日本は赤字国債増発のままで済む訳もなく、いかなる手当を取るべきか。
『政治の安定は会計責任が果たされる土壌にのみ実現すること、これはひとえに複式簿記に懸かっている。複式簿記は利益の計算に威力を発揮するだけではない。借方と貸方が必ず等しくなるという概念(貸借平均の原理)が導入されることによって、経済運営ひいては政権の手腕を診断し、責任を明確にすることができる。中世イタリアでは、複式簿記による帳簿は健全な事業や政府の実態を表すと同時に、神の審判や罪の合計を表す宗教的な一面も備えていた。
あらためて言うまでもなく、厳正な会計を貫き通すのは、口で言うほど容易ではない。会計の責任を継続的に果たすことは、昔も今も変わらずに難しい。中世から現代に至るまで、公正な会計を実行し報告する責任と信用の伝統を築くことのできた社会は繁栄につながった。』(帳簿の世界史 ジェイコブ・ソール著 文春文庫より)
令和2年度の財政支出は、コロナ禍による緊急出動もあり、当初予算より73兆円多い 175兆円となった。歳入不足を国債80兆円ほどの増発で凌ぎ、令和3年3月末の普通国債残高は906兆円という結果となった。将来への不安から家計の金融資産残高は1903兆円に増え、この資金で国債を買い支え、日本全体を見れば、(借方)国民資産(貸方)国債とバランスを取りながら膨張(バブル??)している格好だ。
一万円札(マネー)の価値の裏付けは、誰もが交換価値と信じる「信用」でしかない。国債が信用を失えば、マネーも信用を失い暴落し、国民の資産も棄損してしまう。政治の安定は他人事ではない。
『人々が快と叫んでいるものは、何とも奇妙なもののようだ。正反対のものと思える苦とも、実に不思議な関係にある。この二つは決して一緒に人間の所にやって来ようとしないのだが、もし人が一方の快を追いかけて捕まえると、必ずと言ってもよいくらい、もう一方の苦をも捕まえなければならぬ。まるで二つでありながら一つの頭で結びつけられているようなものだ。もしイソップがこれに気づいていたら、おそらくこんな寓話を作っていただろう。
快と苦が争っているのを、神様が仲直りさせたいと思ったが、うまくいかないので、両者の頭を結び付けた。このため、一方が誰かの所へやって来ると、もう一方も必ず後から随いてくる、と。』(イソップ寓話集445「快と苦」 中務哲郎訳 岩波文庫より)
良いことだけが訪れることはない、を示唆しているイソップ寓話集ですが、現在の新型コロナ感染症との闘いが「苦」であるならば、必ず後から随いてくる「快」はどのようなものだろう。
コロナ以後の日常がコロナ以前と同じ日常に戻ることが「快」だろうか。コロナによって自粛を強いられGDPは落ち込み、経済は停滞した。半面、人々を絶えざる消費に駆り立てる消費主義社会がどれほどの無駄を排出してきたかも見せつけられたコロナ禍の一年でもあった。有限である地球資源と地球環境とも調和した「善く生きる」=「快」となる答えを見つけることも、コロナからの宿題か。
『死期の迫った農夫が、息子たちを一人前の農夫にしたいと思って、呼び寄せてこう言った。「倅たちや、わしの葡萄畑の一つには、宝物が隠してあるのだぞ」
息子たちは父親の死後、鋤や鍬を手に取って、耕作地を隅から隅まで掘り返した。すると、宝物は見つからなかった代わりに、葡萄が何倍もの実をつけた。
人間にとって、苦労こそが宝物だと、この話は説き明かしている。』(イソップ寓話集42「農夫と息子たち」 中務哲郎訳 岩波文庫より)
「若い時の苦労は買ってもせよ」に通じるイソップの寓話ですが、4月の第2週目は水泳の池江選手とプロゴルファーの松山選手に感激しました。
白血病という病魔から2年ぶりに復活し夢にまでみたオリンピック出場という念願を果たし「努力は必ず報われる」と涙した池江選手。4年間ぶりの優勝、しかもゴルファーなら誰もが憧れるマスターズでメジャー初優勝した松山選手の座右の銘は「才能有限、努力無限」。
二人とも、いつ結果として現れるとも知れぬ基礎練習に明け暮れ、挫折を感じることも数え知れずあったことだろう。自分の努力を苦労と思ってしまうと心が折れてしまいがちだが、その努力をチャレンジと捉えるからこそ、乗り越え栄冠に繋げられるパワーになる。
今すべき努力を、誰かの押し付けと思えば苦労、自ら選択すればチャレンジ。二人のように、迷った時はキツいほうを選ぶ気概を持っていたい。
『ゼウスは人類を創造した時、それを命短いものになさった。しかし人間は知恵を働かせて、冬が来ると自分で家を造り、そこに住んでいた。
ある時、凍てつくような寒さに雨さえ降りまじり、馬は我慢できずに人間の所へ駆けて来て、宿を貸してほしいと頼んだ。すると人間は、寿命の一部を分けてくれない限り、貸してやらない、と答えた。馬は喜んで譲り渡したが、しばらくすると牛が、これまた嵐に耐え切れずやって来た。今度も人間は寿命の幾分かを差し出すまではいれてやらない、と言ったので、牛も寿命の一部を提供して泊めてもらった。最後に犬が凍死寸前でやって来て、自分の時を分け与えて宿にありついた。
こういう訳で人間は、ゼウスが決めた寿命の間は純真で善良なのに、馬から貰った年になると鼻息荒く高慢ちきになり、牛の年に達するともう厄介者、ついに犬の時に入ったものは怒りっぽくてけんけんとなる、こういうことになった。
短気で強情な年寄りに、この話はしてやれる。』(イソップ寓話集105 中務哲郎訳 岩波文庫より)
「北風と太陽」「アリとキリギリス」などで知られるイソップ寓話の作者は、古代ギリシャのアイソーボスという名の奴隷だと伝わっている。2500年も前から語り継がれたイソップ寓話には色あせない教訓と風刺が詰まっている。
確定申告で忙しく、カリカリしている時に差し出され、自戒のためケータイで写して、折につけ読み返しております^_^;
『自分は常に事業の経営に任じては、その仕事が社会にとって必要であって、また道理に合するように行きたいと心掛けてきた。たとえその事業が微々たるものであろうとも、自分の利益は少額であるとしても、社会必要の事業を合理的に経営すれば、心は常に楽しんで事に任じられる。ゆえに論語をもって商売上の「バイブル」となし、一個人に利益ある仕事よりも、多数社会を益して行くのでなければならぬと思い、多数社会に利益を与えるためには、その事業が堅固に発達して繁昌していかなくてはならぬということを常に心してきた。
富の度を増せば増すほど、社会の助力を受けている訳だから、この恩恵に報いるに、救済事業をもってするがごとしは、むしろ当然の義務で、できる限り社会のために助力しなければならぬ筈と思う』(「論語と算盤」渋沢栄一著より抜粋)
2024年から一万円札の顔となる、渋沢栄一。近代日本の資本主義の父と呼ばれ、500もの企業の創設発展に寄与した。論語には「巧言令色鮮し仁」で記憶している孔子の教え、仁(他人を思いやる心を元にして自己を完成させる、最高の徳)が説かれている。
150年後の現在社会を見据えるがごとく『人情の弱点として、利欲の念から、ややもすれば冨を先にして道義を後にする弊を生じ、過重の結果、金銭万能のごとく考えて、大切なる精神上の問題を忘れて、物質の奴隷となりやすいものである』と、新一万円札の顔から喝をいれて頂こう。
1月20日付けの日経新聞によれば、家計の貯蓄額がこの1年間で25兆円上振れし、1040兆円を超える水準となっている。コロナ禍による外出自粛により旅行や外食などの消費が抑制されたことに加え、将来への不安による貯蓄や国民1人当たり10万円の特定給付金が使われず貯蓄に回った結果と結論付けている。
米国でも同様で、個人の貯蓄が平時より2兆ドル(200兆円)上振れし、さらにバイデン政権下で追加の現金給付も予定されている。
国は赤字国債を発行し、日銀は紙幣を印刷して、給付金を含め金融緩和策を通じて市中に貨幣を流通させ、国民生活の安定を図り、経済の停滞を最小限に食い止めようとしたが、貨幣供給が消費に回らずその多くは貯蓄に回ってしまった。25兆円を受け取った金融機関は、融資先もままならず、資金運用に国債を購入している構図が見て取れる。世の中の景況感とは裏腹に日経平均株価やダウ平均株価が上昇しているのは、この余剰資金の運用先として資金が流入しているからだろう。
コロナ禍は全人類に襲い掛かる猛威には違いないが、全員がコロナ禍で経済的に困窮している訳ではない。コロナ禍で必要な人に必要な額を供給できる仕組みこそが国の財政も救うことになる。
ワクチン接種や新生活様式の定着でコロナ禍が収束し、Go toトラベルもGo toイートも利用して、この1年間のうっ憤を晴らすために25兆円が消費に向かえば景気も結果オーライ。
国家を形成し、運営するために税収は不可欠であり「税は国家なり」と言われる所以でもある。毎年の税制改正では国のやりたいこと(国民にとっては負担?)が色濃く反映される。2021年度の税制改正案を平たく解説すると、
①2020年は新型コロナウイルス感染症拡大防止に奔走したが、行政サービスや民間分野のデジタル化の遅れなどの課題が浮き彫りになった。2021年は、デジタルトランスフォーメーション(DX)、脱炭素へ向けた投資促進税制の創設やデジタル化の推進などウィズコロナ・ポストコロナを見据えた施策を税制面で支援します。
②一定の機械装置等について、30%の特別償却または7%の税額控除ができる特例(中小企業投資促進税制)が2年延長し、経営力向上計画に基づく設備投資について、即時償却または10%の税額控除ができる特例(中小企業経営強化税制)が2年延長するので、アフターコロナに向けた設備投資をしてほしい。
③令和3年度に限り、固定資産税の税額が増加する土地については前年度(令和2年度)の税に据え置く特別な措置とします。
④年800万円以下の所得金額に適用される法人税の軽減税率の特例(15%)の適用期限が2年延長します。
⑤これ以上の景気悪化を避けるため増税はしませんが、コロナ過対応の赤字国債を増発し、財政健全化の道のりが遠のいているのも事実です。コロナ過を乗り切った後には、国民の皆様の協力(増税)をお願いします。