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事務所概略

事務所名
東京GODO会計
税理士 多勢 陽一
所長名
多勢 陽一
所在地
東京都江東区亀戸
6-2-3田辺ビル6F
電話番号
 フリーダイヤル  0120-77-2514
FAX番号
03-3684-2740
Eメール
tase-yoichi@tkcnf.or.jp
業務内容
・パソコン会計による月次決算支援業務
・独立、開業支援業務
・経営相談に関する業務
お問合せ
東京GODO会計は
TKC全国会会員です
TKC全国会
TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。
東京税理士会 江東東支部所属

WHAT's NEW 2014

WHATs NEWバックナンバー

「軽減税率は誰のため?」(2014/12/5)

 消費税10%への引き上げが延期された。平成28年4月の税率引き上げ時には、食料品など生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率が導入されようとしている。
食料品など生活必需品は所得の多寡にかかわらず誰でも一定金額以上は購入するので、所得の低い層ほど可処分所得に占める消費税負担が高くなる逆進性が指摘され、その逆進性を緩和する一つの方法として軽減税率がある。
 しかし
弱者救済とは裏腹に金持ち優遇の結果になりはしないか、軽減適用の線引きを巡って利権争いの火種になりはしないか。
 コメは最も身近な生活必需品だから軽減税率適用の第一候補。低価格の輸入米も高価格のブランド米も一律に軽減税率が適用されよう。可処分所得の高い人ほど高級ブランド米をいっぱい食べて消費税の負担なし、の現実にブランド米だけ線引きするのか。コメが軽減ならパンはどうしてくれる、と揉めること必至。
 イギリスの場合、ケンタッキーの唐揚げは税率20%、スーパーの唐揚げは税率0%。ケンタッキーのは暖かく、スーパーのは冷たいという販売時の温度差が軽減税率適用の判断基準だが、これが果たして弱者救済だろうか?
 フランスの場合、マーガリンは工場で作られるので税率19.6%、酪農家が作るバターは税率5.5%と国内産業を保護するための軽減税率となり本末転倒。
 今年から消費税申告書は税率の変遷(3→5→8%)にならい計算記入欄が1列増えて4列となった。税率区分ごとの集計確認に苦労している現場からも一声「これ以上複雑にしないで」

「130万円の壁」(2014/11/11)

 130万円の壁、ご存じだろうか。
 現行制度では、労働時間が一般社員の概ね4分の3(30時間)以上あるパート社員は厚生年金に加入しなければならない。これ以下の労働時間で年収が130万円を超えなければ厚生年金・健康保険に加入せず、夫の社会保険の被扶養者として基礎年金や医療給付を受けることができる。「家事をしながら家計の足しに」と考えて働く主婦と社会保険料の会社負担をしなくて済む事業者側の双方の意向が合致する点が130万円の壁となる。
 ちなみに同じパート社員の年収129万円のAさんと年収130万円のBさんでは社会保険料の自己負担分で15万円ほどBさんの手取額が少なくなってしまう。BさんがAさんと同じ手取額に回復させるためにはプラス25万円分の労働時間の投入が必要となる。

 国はこの130万円の壁が女性の社会進出を阻んでいると考え、2016年10 月から従業員が501人以上の企業で週20時間以上働く短時間労働者で、年収106万円以上、勤務期間が1年以上の人に厚生年金の適用を拡大することにした。
 これで本当に女性の活躍する働きやすい社会環境が実現するのだろうか。
新たな106万円の壁、週20時間の壁、勤続1年の壁を作り、勤労世帯の家計収入を減らす結果になりはしないか。子供を産むことは女性にしかできないという本質を直視した少子化対策こそ必要ではないのか。

 国の本音は厚生年金の適用者をどんどん増やして逼迫する年金財政をなんとか繕いたい所にあるのかと勘繰りたくもなる。

「今度は黙っていない」①(2014/10/02)

 毎年9月に厚生年金保険料率が引き上げられている。平成26年9月からは0.354%引き上げられ17.474%となり、これを労使折半で保険料を納める。料率引き上げは平成29年の18.3%まで毎年自動的に上がる。
 この悪しき厚生年金保険料率の自動引き上げがスタートしたのは10年前。平成16年の保険料率は13.58%だったから13年間に5%弱の引き上げとなるが、毎年は0.3%というわずかな引き上げからか、マスコミからも取り上げられず静かに進んでいる。
 
平成24年度の厚生年金保険収入は24兆1550億円で消費税収の1.5倍。その内、7200億円が料率引き上げ分に相当する。これが所得税や消費税の増税であれば大々的にマスコミに取り上げられ大騒ぎのはずだ。
 この法案が成立した平成16年は小泉内閣時代。年金改革法案を成立させた直後の参議院選挙では国民の批判を浴び民主党が勝利した。しかし郵政民営化を行財政改革の本丸と位置付けた小泉首相は、翌年の「郵政解散」で国民の圧倒的支持を得て長期政権を確立させ、年金改革法案反対の民意が消し飛ばされた時代背景がある。
 
29年以降、何もしなければ「100年安心プラン」は破綻する。厚生労働省の次なる手は、厚生年年金保険収入を維持するため更なる料率の引き上げか、年収130万円未満のパート労働者まで厚生年金に加入を義務付けるかのいずれかになろう。個人は将来の年金受給が増えるから我慢もできようが、割を食うのは半分の負担を強いられるだけの事業者じゃないか。

「魔法の数字」(2014/09/09)

 8月26日付けの日経新聞に「8%は魔法の数字」という記事が載った。
 『企業の自己資本利益率(ROE)が8%を超えると株価が大きく上昇する傾向がある。ROE=当期利益÷自己資本(株主資本)で計算されるので、株主から預ったお金を年率8%以上で増やすことができれば評価が一変し魔法がかかったように株価が上昇し、ROEが8%未満の企業は最低限の義務を果たしておらず「上場失格」の評価となる。東証一部企業の昨年度のROEは8.6%と日本株市場は魔法がかかる変化のとば口に立っている』と伝えている。
 ちなみにトヨタ自動車のROEは13.7%となっている。
 
この魔法の法則は中小企業にも通じるのかと、TKC経営指標を調べてみたら、やはり魔法の法則を存在していた。全企業平均のROEは6.7%に対して優良企業平均のROEは18.3%と高効率の水準にあった。中小企業の場合、役員報酬の取り方によって当期利益額が左右される傾向が強いので売上高に対する役員報酬割合を確認したら、全企業平均で5.0%、優良企業平均でも5.3%ほぼ拮抗している。
 自己資本利益率は、企業にとって厳しい指標である。頑張って利益を計上し内部留保を高めれば分母の株主資本の額が増加するので、更なる利益の積み上げがないと毎期8%達成は困難になる。
 株式非公開の中小企業には関係のない指標との批判もあるが、経営を安定させるためには自己資本比率を高める以外に手立てはない。毎期、税引後の内部留保額をコツコツと積み上げるしかない。

「価格転嫁」(2014/8/8)

 「柴又の寅さんも自腹分に泣いている。」という前回の締めのくだりに、あの寅さんが消費税を納税しているとは思えないので自腹を切ることはないのでは?という鋭い質問を頂戴した。
ご指摘のとおり、フーテンの寅さんのことだから、年間水揚げが1,000万円は超えていそうもないので、きっと免税事業者だろうと想像できる。

 テキ屋の寅さんは、「カドは一流デパート、赤木屋黒木屋白木屋さんで紅おしろいつけたお姉さんから、くださいちょうだいで頂きますと五千や六千はくだらない品物ですが、今日はそれだけ下さいとは申しません。四千、三千…どうだ千両だぁ。持っていきやがれ」と威勢のいい掛け声でバイ(商売)を展開していく。
 バイ(商売)をするための商品を500円で仕入れ、自分の取り分を最低500円と決めれば、5000円からセリ始め1000円まで下げてきて、「持っていきやがれ」の決めゼリフで商売成立、バンバン売れた。消費税のなかった昭和の時代はこれでよかった。
 今や500円の商品を仕入れるためには税込540円支払わなければならない。自分の取り分の500円を確保するための落とし所は1,040円となり、サラサラ流れるテキ屋の口上の決めゼリフとしては何とも間が悪い。結局「どうだ1000円!持っていきやがれ」となれば、寅さんの懐に入るのは460円で消費税分40円が自腹に。
 「どうにも切れが悪くてしょうがねえや」と寅さんのボヤキも聞こえてきそうだが、確かに寅さんのポケットに小銭じゃらじゃらは似合わない。

「俺の辛さも解っておくれ」(2014/7/7)

「俺の辛さも解っておくれ」

 法人税の実効税率を20%台まで引き下げるための代替課税として、赤字の中小企業に対して外形標準課税を適用する案が検討されている。
 外形標準課税とは、事業所の床面積や従業員数、資本金や付加価値など外観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を計算する課税方式で、法人事業税でこの課税方式が採用されている。
 従来の法人事業税は所得金額×税率で税額を算出していたが、企業が営業活動を行うに当たって様々な行政サービスを享受していることから、これに必要な経費を企業が負担すべきであるという考えに基づき、従来の所得課税だけでは事業規模との関係が必ずしも適切に反映されないとの指摘から、平成16年から所得課税と並行して外形標準課税が行われるようになった。
 資本金1億円以下の法人は外形標準課税対象から外れているが、それを課税しようというもので絶対に反対!
 財務省主税局は、多くの中小企業が消費税の価格転嫁できない分について消費者に代わって税負担している実態を解っちゃいない。
 消費税を100%価格転嫁できれば、事業者は損も得もせず預かった消費税額から支払った消費税額を差し引いて納税するだけだが、税込売値を1.08で割り戻して「預り消費税」を計算するため価格転嫁できなければ自腹を切る羽目になる。
 中小企業の多くがこの自腹分を自分の役員給与を引き下げて穴埋めし、資金繰りをしているのが実態ではないだろうか。
 「俺の辛さも解っておくれ」柴又の寅さんも自腹分に泣いている。

「社会保障 破綻」(2014/6/6)

 消費税が8%に引き上げられて3か月が経過した。今回の消費税の引き上げの目的を「社会保障の充実・安定化と、そのための安定財源確保と財政の健全化の同時達成を目指す」と銘打つが、消費税だけでこの目的は達成できるのであろうか。

 日本の社会保障費は年金・医療・介護に大別され、それぞれが保険料を徴収し、その中で給付を行う社会保険制度を原則にしており、不足分を国の税金で賄う構図となっている。この不足分である国の一般会計に占める社会保障関連費は29兆円で一般会計全体の3割を占めるが、社会保険からの給付を含めた社会保障給付に係る全費用は110兆円という規模に膨れ上がり、高齢化の進展でこの予算規模は伸び続けることになる。法人税・所得税・消費税といった国税収入50兆円をはるかに凌ぐ社会保険収入を確保しなければ制度は維持できない。この社会保険収入を現役世代で支える現行制度だけでは少子化も相まって給付と負担のギャップが広がり続けてしまう。

 大胆な給付削減を伴う改革が急がれるが、そんな勇気のある有能な政治家はまず現れないだろうし、健康保険料・介護保険料・所得税・住民税まで天引きされ手取りが減る一方の年金に手をつけられても困る。
 自分の健康に対する意識改革と実践こそが社会保障費の抑制の切り札となる。誰しも病気や要介護状態は望まないのだから、幾つになっても健康な生活を維持すれば少なくても医療と介護のお世話にはならないで済む。

奥様は長生きがいちばん(2014/5/12)

 収入の少ない配偶者や孫が多額の預金を形成している場合、相続税の税務調査でしばしば問題になる。名義は被相続人のものではなくても、実質的には被相続人の所有する預貯金と認められるものを名義預金といい、被相続人の相続財産に該当することになる。

 名義預金は、①単に名義を配偶者や子・孫などの親族のものにしている、②形式的に贈与を行ったにすぎず実質的に贈与が成立していない、に大別される。
 妻が家庭の大蔵大臣を任されている場合、その家庭内に蓄財された預貯金の名義が収入の大半を稼ぎ出した夫から妻に転化されているケースが見受けられ、①に該当する。
 世の奥様方からすれば、大変な家事と家計を切り盛りしているのだから当然とも言える行為であり、相続税回避などという大それた考えなど微塵もないのだが、指摘の標的に。
 平均寿命どおりに夫、妻の順番で相続となった場合、夫の相続財産に妻名義の預貯金を加えて相続税の課税価格を計算しても、妻名義の預貯金は妻が相続すれば妻の取得財産が法定相続分相当額か1億6千万円までは相続税は軽減される。ここから導かれる相続税の教訓は「妻は夫より一年でも長生きする」ということになる。
 ②で多いのが、子や孫に内緒で贈与税の基礎控除(110万円)内の贈与を毎年繰り返し、贈与が成立したと思い込んでいるもの。税務調査では、例え贈与税の申告をしていても被相続人が引き続き預金の管理をしていたと認定されれば被相続人の名義預金とされる。

「優柔不断の末後」(2014/4/15)

『弱体な国家は、常に優柔不断である。
そして決断に手間取ることは、これまた常に有害である。
このことについては、私自身確信を持って言える。国家活動において、ものごとを曖昧にしておいたことが、フィレンツェ協和国にとっていかに有害であったかは、私自身が体験したことであったからだ。
決断力に欠ける人々が、いかにまじめに協議しようとも、そこから出てくる結論は常に曖昧で、それゆえ常に役に立たないものである。
また、優柔不断さに劣らず長時間の検討の末の遅すぎる結論も同じく有害であることに変わりない。
それが、たとえば、誰かを援助しようというものであっても、決定の時機を逸したというだけで、相手を助けられないどころか、こちらの害になって返ってくるものだからだ。
多くのことは、はじめのうちは内容が曖昧で不明確なものなので、これらははじめから明確な言葉で表すことは難しい。だが一旦決定しさえすれば、言葉など後からうまれてくるものであることも忘れてはならない。これらのことは、君主制であろうと共和制であろうと、すべても指導者が心しておくべきことである。』     (マキアヴェッリ語録 塩野七生著より)

東日本大震災から3年が経過したにも関わらず、未だに「情報は悪いものほど後に出し」などと揶揄する川柳ができるほど福島第一原発の四面楚歌が続いている。
悪い情報をいち早く取得し素早く対応し決断すれば、どれほど後の憂いを取り除いてくれることか。

「消費税≒年金」(2014/3/3)

 4月から消費税が8%となる。

 自分が支払った分は65歳から8年程度でもらいきり、後は誰かが支払った年金をもらう仕組みだから、みんなが長生きする現状では制度疲労を起こし、健康保険にいたっては後期高齢者健康保険の赤字の補填で健全だった健康保険組合が汲々している。
 この世界的にも稀な相互扶助システムを破綻させないため打ち出された消費増税。増税分の3%は年金を含む社会保障のみに支出される目的税となっている。
 試算では、消費増税後は年収600万円の四人家族標準世帯で8万円の負担増になるという。つまり、増税分は自分で支払っている健康保険料と年金に加えて、消費税という形で健保・年金を納付する構図になる。
 国民皆健保・年金制度の相互扶助の理念は、「労働とは、自分のために為すべきものではない。人のために為すべきものである。我々は、自分のためにのみ生きるのではない。人のために人と共に生きるために生きるのだ」という社会主義国家の理念に通じるものがある。社会主義制度が破綻してしまった原因は「自分さえよければ良い、すべては自己責任」という発想がこの崇高な理念に勝ったからだ。健保・年金制度の維持には日本国民の根源的な意識改革こそが急務だがハードルはかなり手強い。

 「自分の老後の頃は年金なぞ貰えないだろう」とぼやきながらも支払ってきた年金ではあるが、年金をもらう時期が近づくにつれ「ねんきん定期便」を眺めながら損得勘定をしてしまう。

「飲食費50%OFF」(2014/2/12)

 平成26年度の税制改正の目玉は、交際費の損金不算入制度の内、飲食費の50%については損金算入を認めるというもの。目の敵のように厳しく規制してきた交際費課税が緩和される。資本金1億円以下の中小企業はすでに800万円までの支出交際費は全額損金として認められる定額控除があるので、いずれか有利な方を選択適用することになる。早くも大企業への優遇処置との批判も上がっているが、ネオン街に活気が戻り中小の飲食店のお客も増えれば、これに越したことはない。
 もう一度、接待交際費を整理してみよう。法人税は「交際費等」の範囲を得意先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他の費用と規定して、接待に使用したタクシー代なども交際費に含まれることになっている。一方、もっぱら従業員の慰安、会議の際の茶菓・弁当の費用、一人当たり5,000円以下の一定の飲食費は「交際費等」から除かれる。
 今回、対象となる「飲食費等」(飲食その他これに類する行為)とは、得意先、仕入先等社外の者に対する接待、供応の際の飲食と規定されているので、社内飲食、中元・歳暮、送迎費用やタクシー代、ゴルフや旅行の際しての飲食だけを取り出すなどはNG。
 本来、交際費は会社の収益アップに直結しなければならないもの。費用対効果が確認できれば法人税の規定などに囚われず支出すべきものであるが、同時に経営への倫理観も求められる。
 売上UP→利益UP→交際費支出→売上UP→給料UPの好循環こそ求められる。

「ガンバレ、日本」(2014/1/10)

 まもなく始まるソチ五輪。「真央ちゃんガンバレ」「高梨沙羅の金メダルは確実でしょう」と日の丸を背負って頑張る選手の活躍を誰もが願っている。この声援こそ祖国愛であり、愛国心はだれでもが持っている自然な感情のはずだ。

 しかし、安倍内閣の国家安全保障戦略に「愛国心」を盛り込む話になると、「戦争できる国への序章」「生まれ育った国や故郷を嫌う人がいるだろうか。心の問題に踏み込み、もし政策として愛国的であることを強制するのなら恐ろしさを感じざるを得ない」と新聞紙上を賑わせ、こちらはどうも勝手が違う。

 藤原正彦氏はその著書「祖国とは国語」の中で、
 『英語で愛国心にあたるものに、ナショナリズムとパトリオティズムがある。ナショナリズムとは、通常、他国を押しのけてでも自国の国益を追求する姿勢、私はこれを国益主義と表現する。パトリオティズムは、祖国の文化、伝統、歴史、自然などに誇りを持ち、またそれらを愛する精神である。私はこれを祖国愛と表現する。家族愛、郷土愛の延長にあるものである。
 わが国では明治の頃から、この2つを愛国心という1つの言葉で括ってきた。これが不幸の始まりで、愛国心の掛け声で列強との利権争奪に加わり、ついには破滅に至るまで狂奔したのだった。
 戦後は一貫して、愛国心こそ軍国主義の生みの親とあっさり切り捨てられ、その一部分である祖国愛も運命を共にしたのである。心棒をなくした国家が半世紀たつとどうなるのか、が今日の日本である。
 祖国愛は、どの国民にとっても絶対不可欠の精神である。』